<奥只見発電所>

 奥只見発電総所は,昭和28年7月の電源開発調整審議会で開発が決定し,海抜1062mの枝折峠を越える,国道352号線を通って準備工事が進められました。現在の「奥只見シルバーライン」は,工事用道路として電源開発株式会社が建設したものです。

 発電所は昭和32年5月本工事にかかり,35年12月一部発電を始め,36年7月に全運開しました。この工事には延べ約600万人の労務人員と,約390億円の費用がかかりました。なお,この発電所は川床から約40mの地下にあります。

 現在,新たな発電所の増設工事が行われている。この増設工事は,既存の設備の有効利用を目的として,水圧管路の一部は奥只見ダムの穴あけにより,また発電所は既設の地下発電所を拡張することにより設けています。

 増設分は,有効落差164.20m,最大使用水量138m3/s,最大出力20万kWで,運転中の奥只見発電所と合わせると56万kWの国内最大のダム水路式発電所になります。

〔電源開発株式会社 関東支社           小出電力所 パンフレットより〕


 
 
○奥只見ダム体験記○
〜いざ,ダムの中へ〜
午後2時に,電源開発株式会社の方々がマイクロバスで迎えに到着。マイクロバスに乗り込み, 電力館へ移動。そこで,概要と見学についての諸注意のレクチャーを受けました。そして,一人一人に ヘルメットと安全帯が支給され,中には,長靴を支給された人も。普段着にヘルメットと安全帯の20人 の団体,明らかに異様な集団でした。見学ルートは,既設の発電設備を 見てから,現在,増設中の掘削現場を見ることになっていました。

 まず,既設の発電設備内に入るために,ダムの上を歩いて移動。ダムの上にて建設中の 取水口の説明。建設中の増設取水口や 緊急時の放水口を上から覗き見る。かなり高い。それから,2班に分かれて エレベータに乗り込み,一気に下へ。たどり着いた一行は,地下通路の 薄暗さとヒンヤリした空気に緊張感が高まっていく。気分はRPGの主人公(?)。さらに, エレベータに乗り込みダムの地下へ移動。そこで,一行の見た物は・・・。
 
〜轟音の中で〜
 そこは,学校の体育館のような広大なスペース,思わず,そこが地下であることを忘れる。上を見上げて,天井があることを確認して地下であることを思い出した。その中に,3台の発電機が文字通り鎮座していた。見学中は,3台のうち2台が稼働中であったが,説明を聞いていると,川越の指令所より3号機稼働の要請があった。現在,3台の発電機は全て遠隔操作で運転されているそうだ。「3号機が動き出すと,聞き取りにくいので,今の内に質問してください。」と言われたが,スケールの大きさに圧倒されたのか質問は少な目だった。
 
2号発電機の前で説明を受ける。「油圧弁で,水量を調整し,軸の回転速度を一定に保っている。」と簡単に説明されたが,有効落差170mから流れ落ちる水を調整する弁というのは,どれほどの力が必要なのか想像もできなかった。発電機の構造は,同じ回転軸上に直流機と交流機が2段重ねになっており,直流機で発電した電流を交流機の界磁巻き線に流し,交流機の回転子を回すことで発電している。「ここで,発電された電力の2/3は,東京方面に送られている。」とのこと。階段を降りて,2号発電機の回転軸を見る。狭い入り口を抜けると,直径2m以上ありそうな円柱が轟音の中で回転していた。まさしく,「発電の現場」であった。正直,感動(T^T)。

 隣の部屋に移動すると,巨大なトランスが現れた。このトランスで送電電圧275kVに昇圧している。発電機もデカいがトランスもデカかった。さらに,進んで行き,発電機新設用の掘削現場をノゾき見る。トンネル内は粉塵のために白っぽく見えた。作業員の方が一行の横を通り抜けて,トンネル内へ。作業中にもかかわらず,見学させて頂き,ご迷惑をおかけしましたm(__)m。

 再び,2号発電機の前に戻って質問タイム。発電機横の扉を開けてサイリスタを見る。先生は,昔の血が騒ぐのか目を輝かせて説明してくれました。質問タイムも終わり,エレベータで地上へ。通路を抜け外に出ると,そこはダム直下。下から見上げたダムは,上から見るよりも威圧感があった。再度,質問タイム!発電機を増設しても,送電線には余裕があるため送電線の増強はしないとのこと。
 

〜トンネルの奥にて〜
 分かれていた2班が1つになり,バスに乗り込み増設用の掘削現場へ移動。トンネル入り口で降車かと思いきや,そのまま地下へ。トンネルの奥に着くと,防塵マスクを装着して現場へ。先程見た体育館のような空間を掘っていた。ただ,ただ広い。皆,黙って見ていた。増設用の掘削現場を最後に,見学は終了した。バスに乗り最初のみやげ屋前の駐車場へ移動。途中で土砂を満載にしたトラックを見る。掘削して出た土砂は,外には持ち出さないそうです。全員無事に,見学終了。
 
〜謝辞〜
 親切にまた,熱心に説明をして頂いた電源開発株式会社の方々,本当にありがとうございました。また,工事中にも関わらず見学させて頂いた作業中の方々,ご迷惑をおかけしました。おかげで,「発電の現場を見る」という貴重な体験ができました。この場を借りてお礼申し上げます。

奥只見ダムの増設に関する詳しい情報はこちらを参考にしてください。

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